ワインとチーズマニアの翻訳者日記

ワインとチーズに目がない英日翻訳者の記録です。チーズ、ワイン関連の書籍や関連記事の訳文を紹介します。

テイスティング勉強 2019年10月

朝から降り続いた大雨と雷が午後に入ってようやく落ちついてきた金曜日の夜、自分を除く参加者全員がソムリエまたはワインエキスパートという、いわば「虎の穴」のようなテイスティング勉強会に参加させていただいた。参加するのは今回が2度目だった。

頭のいい人はテイスティングの内容を脳内できちんと整理して記憶できるらしいのだが、私は自分でもあきれるほど頭が悪く記憶力も弱いので、こうして記録しておかないとだめのよう。いや、最近では記録しても忘れがち。加齢のせいもあるかと思うけれど……。

 

今回は5本の白という難題。抜栓後1時間おいた5本のワインが用意されていた。

まずはノーヒントで品種を予想。

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左からボトル番号1~5の順

1について

外観:淡いイエローで少しレッグがある

香り:青い草、少し樽香、このワインだけツンとくるビネガーっぽさがある

味わい:少し発泡あり、爽やか、かすかに甘味

品種予想:ソーヴィニョン・ブラン

 

2について

外観:イエロー

香り:トロピカルフルーツ、スパイス

味わい:酸味が強め、最初は少し苦みも感じ、苦手なタイプかなと思ったが時間がたつとほのかに甘い紅茶のような風味が現れ気に入った

品種予想:ソーヴィニョン・ブラン南アフリカ?)

 

3について

外観:淡いイエロー、レッグがややある

香り:ゴムのような臭いが鼻をつく→他の参加者の皆さんがぺトロール香と呼んでいた

味わい:飲んでも少しゴムっぽさを感じるが余韻に甘味

品種予想:予想つかず

 

4について

外観:濃いイエロー、レッグはあまりない

香り:3と近いゴムっぽい臭いがある

味わい:トロピカルフルーツの奥に味の濃い木綿豆腐のような印象

品種予想:予想つかず

 

5について

外観:グリーンがかったイエロー、レッグがややある

香り:少しトースト香、その奥にリンゴ、白い花のニュアンス

味わい:青りんごのような爽やかな果実味、時間がたつとやはり甘い紅茶の印象が感じられるようになった いい意味で硬質

品種予想:ミュスカデ?

 

ここで「1本以外は同じ品種」というヒントが出て、みな首をひねる

自分の予想:1はソーヴィニョン・ブラン、5はミュスカデかなと思ったが2-4もミュスカデとはとうてい思えず、お手上げ

 

結果 1のみピノグリ、それ以外はリースリング

 

ここでボトルカバーを外し、ワイン情報を公開

1:アルザス ピノグリ マルク・クライデンヴァイス 2017 ビオディナミ

*この品種を当てた方がいて、決め手はグリ系らしい色調とのこと。どんな色調のことなのか教えてもらったはずだが失念…。

https://terravert.co.jp/winery/marc-kreydenweiss/

 

2:ポーランド アドリア・ヴィンヤーズ 2017?

造り手はシアトル生まれのアメリカ人、マイク・ホイットニー氏

2番目に好ましい印象だったワイン

http://azumacorp.jp/category/winery300269/?page_side=poland

 

3:イタリア ピエモンテ州ランゲ産 カ・デル・バイオ 2017?

http://wine-wave.com/tb/winery/0211

イタリアのリースリングを飲んだのは初めてだ!

 

4:アルザス ルヴァン・ピルエット 2014 ビオディナミ

https://terravert.co.jp/winery/france/alsace/les-vins-pirouettes/

 

5:アルザス ヴァランタン・チュスラン 2016 ビオディナミ

今回自分が最も好きになったのはこのワインだった。1マルク・クライデンヴァイスのビネガー臭はビオ由来なのかなと感じたが、このワインにはそういう印象がなかった。ビオディナミといってもひとつにくくれないものだ。

 

反省:ボトルを上部までカバーで覆ってあったとはいえ、うち2本はボトルの長さと口部分にリースリングの典型的な特徴がみられたのだから、予想がついてもよさそうなものだったけれど、その点は見逃していた。とはいえ、ボトル形状に着目していたら、先入観にとらわれて、自由なテイスティングができなくなってしまった可能性があるから、これでよかったのだろう。

リースリング=ペトロール香と言われる。自分はこの香りがどうも苦手で、そのせいでリースリングという品種自体を敬遠していたけれど、今回飲んだチュスランはまったくそうした香りがなく、とても好きになれた。

それにしても自分はまだまだ品種ごとの特徴が理解できていない。せめて基本的な白品種6種の特徴ぐらいはしっかり覚えたい。

・シャドルネ
ソーヴィニヨン・ブラン
リースリング
・シュナン・ブラン
・ミュスカ
セミヨン

 

ブラインドテイスティングにはミステリー小説を読むような楽しさがある。最初は自分の勘だけを頼りに、次にヒントをもとに犯人を突きとめていくようなスリルを味わえて、早くも次回が待ち遠しい!

 

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一番左を除き 4-1-3-2-5の順

 

 

クリムトに再会

上野で開催されていたクリムト展に行けず、がっかりしていたのですが、愛知県の豊田市でも7月末からクリムト展が開催されると知り、どんなにうれしかったことか。もう内心、小躍りしながら行ってきました。

 

展示を見る前に驚いたのは豊田市美術館の規模の大きさです。人口40万人ほどの市でこれほど広大でデザインの凝った市立美術館があるとは、さすがトヨタの本拠地です。もれきくところによれば、売上げか営業利益か忘れましたが、とにかくトヨタ自動車のみの経済規模は日本の出版界全体のそれを上回るとか……。

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とはいえ上野に比べれば地方の都市のこと、きっとガラガラだろうと思っていたら、お盆休みのせいか、かなり混んでいました。しかもお子様連れ率高し! 子どもが大声で叫ぶ声や赤ちゃんの泣き声がそこかしこからきこえてきましたが、せっかく来たのに気にしていたらもったいないので、音声ガイドで外部の音をシャットアウトし、心を無にして絵に対峙するのだ、と気合を入れて臨みました。ふだん絵画を見るときはよけいな情報を入れずに自分だけの感覚で味わうために、音声ガイドも借りないのですが、今回はやむを得ませんでした。

 

思えば今から300万年ほど前の学生時代、鎌倉をぶらついていたらたまたま美術館を見つけ、そこで開催されていたクリムトとシーレ展を見たのがクリムト初体験です。

当時は何の予備知識もなく、感想といえば、

クリムトについては「きれいでうっとり~。でもみんな眠そうっていうかけだるそう……」

シーレに至っては「顔色悪いなあ。しかも全身アザだらけちゃうか?」

という芸術オンチっぷりをさらしていたような。それでも色彩豊かで華やかなクリムトはひとめ見て好きになりました。いっぽうシーレの絵は、見ていて重苦しい気分になったのを覚えています。

 

あれから長い年月が経ち、クリムトの代表作ぐらいはわかるようになり、今回は「接吻」と「ダナエ」をぜひこの目で見たいと期待していましたが、両方とも展示されていなかったのが少し残念です。

 

それでも「ユディト」、「ヌーダ・ヴェリタス」、「女ともだち1(姉妹たち)」、「オイゲニア・プリマフェージ」など、いつまでも見つめていたくなるような美しい作品にたくさん出会えて、幸せな時間を過ごすことができました。

生首を手に恍惚としたような表情を浮かべる「ユディト」には、毒を含んだ美しさが漂っています(この絵で顔はめパネルつくってくれたら怖いけれどおもしろそう)。

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「ヌーダ・ヴェリタス」の前ではブルーと金色、そして白い肌の対比の美しさに陶然とするいっぽう、どこを見ているのかわからない女性のまなざしに、少し狂気のようなものも感じました。

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https://note.mu/azzuro0205/n/n2e74a798c5d6からお借りしました。

 

全体に黒色をメインにして描かれた「女ともだち1」は、ロートレックの絵を思わせるような、しゃれた雰囲気。 

そして今回の目玉ともいえるのが、広々とした3つの壁面に、コの字型に描かれた「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製画。複製とはいえ、禍々しさと美しさの混在する不思議な世界をたっぷり堪能できました。

とりわけ見とれたのは、左壁面に描かれた黄金の騎士の凛々しい姿。なよっとした柳腰の女性画が多いなか、全身を黄金の鎧で覆われた騎士が、完璧なプロポーションも誇らしげに、すっくと力強く立っていたのです。

胸がすくような清々しい気分で、しばし彼を見上げていました。しかし見ているうちにふと気になったのが、騎士の眼。どう見ても「ちびまる子ちゃん」のような漫画チックな点のお目目。なぜ彼だけこうなのか。横で見ていた夫に「ねえちょっと奥さんっ!」とばかりに訴えるとやはり、「まるちゃんじゃないか……」という反応。

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この写真は購入したクリアファイルです。

この目に気づいてからは、清々しいだの壮大だのといった感想は吹っ飛んでしまい、笑えてしかたがありませんでした。

以上、まちがった絵画鑑賞の好例です。

 

騎士に笑わせてもらいながら展示の最後にたどりついた年譜から、クリムトが、第一次世界大戦が終わった1918年に他界したと知り、同じオーストリアの音楽家ヨハン・シュトラウス2世がつくった「美しく青きドナウ」を思い出しました。

1867年、オーストリアプロイセン・オーストリア戦争に敗れ、国民は失意に沈んでいたそうです。シュトラウスはそんな祖国の人々を少しでも励まそうと、この曲をつくったのだとか。そんなことも知らなかった20代の頃、中古レコード店シュトラウスを買ってきた姉といっしょに初めてこの曲を聴いたときには、曲が進むにつれてどんどん盛り上がりを増して華やかに展開していく曲調に、「シュトラウスってめちゃくちゃ明るくて能天気なヒトだったんだろうねー」と、ケタケタ笑っていた自分が情けなく恥ずかしい思いです。

何が言いたいかというと、もしクリムトが大戦後も生きていたら、いったいどんな絵を描いていたのだろう、ということです。シュトラウスのように、人々の気分を明るくさせるような絵を描いてくれていたか、それとも敗戦後の暗い世の中をモチーフにして、戦前とは打って変わった陰鬱な絵を生んでいたでしょうか。あるいは世相などまったく関係なく、ひたすら自分の描きたい世界を創造していたでしょうか。かなわぬ願いですが、第一次大戦後のクリムトの絵を見てみたかったとしみじみ思います。

 

クリムト展 ウィーンと日本1900」は10月14日まで豊田市美術館で開催されています。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジャズ・エイジは終わらない』から何度でも読みたいフィツジェラルド

ジャズ・エイジは終わらない』

小説のタイトルのようだけれど、F・スコット・フィツジェラルド作品の解説書だ。この作家の解説書を読むのはこれが3冊目で、そのたびにもう一度彼の作品を読み直すことがこれまで何度もあって、そのたびに、自分はこの作家の作品世界がどうしようもなく好きなのだと再認識してきたけれど、この本は3冊中で最も深く丁寧に、きめ細やかに、フィツジェラルドの世界を掘り下げてくれているように思う。

 

この解説書では主に『夜はやさし』と『グレート・ギャツビー』に的をしぼって、作品の印象的な場面の解説、作品の舞台となった時代の風俗や文化、習慣などが詳しく紹介されている。小説を読んだときにいまひとつ理解できなかったり、字ずらを追うだけで終わってしまった箇所への理解が深まり、もう一度この2作品を反芻するように読んでみたくなった。とくに『夜…』は訳書しか読んでいないので、原書を入手して読みたいと思う。

手元にある作品を再読しようと思い立ち、とりあえずは短編集『若者はみな悲しい』から『お坊ちゃん(金持ちの青年)』を読みなおした。これは、禁酒法時代のニューヨークの上流階級社会に生きる資産家のお坊ちゃん、アンソンを主人公とした物語だ。正直、前に読んだときはあまり魅力を感じなかった。代々、遺産で暮らしている資産家の長男アンソンは名門大学出のハンサムで多くの友人に恵まれ、社交性に優れて仕事でも優秀な実績をあげて上司の信頼篤く、友人たちの悩みには残らず助け舟を出し…と、非の打ち所がない青年。そんな人物にどうにも共感がもてなかったのだ。

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けれど今回読み直してみると、アンソンが抱え込んでいる、人気者ゆえの言い知れぬ寂しさが痛切に感じられた。そして、ある種の理想主義者、ロマンチストであるゆえに、年月を経るにしたがって現実とのギャップに苦しむようになっていく姿に、こちらまで切なくなってきて、寄り添ってやりたくなった。そう思えたのは自分がアンソンから見て母親世代に当たる年齢になったからだろうか。そう思うと年をとるのも悪くない。

かつての学友はみな結婚してそれぞれの家庭の世界に入っていき、アンソンとは疎遠になる。結婚まで考えた2人の女性は、彼のプロポーズを待ちきれずに他の男性と結婚していく。気がつくと、なじみのバーに入っても知り合いの飲み友達の姿はなく、週末をともに過ごす相手を見つけようと、やっきになって電話帳の番号を片っ端からかけても収穫なし。

そんなもの悲しい展開だっただけに終盤、仕事でも生活でも疲弊しきった彼を見かねた上司の勧めで数カ月の休暇をとり(そんなことが可能だったとは驚くばかり!)、友人と船旅に出たアンソンが、船上で魅力的な女性と知り合って、以前の闊達さを取り戻していく様子に心から安心して、本を閉じた。暗い作品が多いフィツジェラルド作品中で、こんなふうに晴れやかな読後感をもてるのはまれだ。何不自由なさそうなお坊ちゃんにだって悩みはあり、順風満帆に見える人生には山も谷もある。作中、船旅に同行する友人はアンソンのことを、「愛してくれる人がいないと不幸になる男なのだろう」と語っている。そういう弱さをもっているからこそ、人間なのだ。

やっぱりいい。フィツジェラルドはいい。

https://www.amazon.co.jp/dp/4120051994…

日本ワインとナチュラルチーズ セミナー 2019年5月

今回のワインは長野県中野市にあるたかやしろファーム&ワイナリーの4本。

ソービニヨンブランとシェーブルの相性を再発見しよう!というテーマのもと開催されました。

ワインリストと感想

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2017たかやしろブラン・スパークリング:ソーブラ84% ケルナー16%

自社畑産ブドウ使用。色は淡いイエローで爽やかな香り。かすかに火薬っぽさを感じる辛口。シェーブルのシャビニヨルとの相性がよい

 

2014ソービニヨン・ブラン

色はきれいなイエロー。香りはソーブラらしい草の香り。かすかに汗っぽい余韻。やはりシャビニヨルと相性がよい。

 

2017ピノ・ノワール

色は縁部分がやや茶色で、2017年なのになぜこの色なんだろうと不思議に感じたけれど、味はまったく問題なしどころか、果実味を保ちつつも、ピノ・ノワールらしからぬコクと重みがあり、ラクレットと相性がよかった。お値段をたずねたところ、2000円でおつりがくるというのだからさらに驚いた。これは自分でも購入したい。

 

2016たかやしろの雫

山ぶどうの「行者の水」という品種とメルローを掛け合わせた、「富士の夢」という交配種。志村さんが開発したということで、志村ブドウ研究所の志村富男さんのことだろうと思われる。無濾過タイプで色は黒いほどの赤にみんな驚いた。色から連想したとおり、非常に濃厚。これもラクレットと好相性だった。

https://www.dr-tomio.com/

 

富士の夢:行者の水×メルロー
富士の夢(ふじのゆめ)は、行者の水とメルロー種を交配させたもので、アントシアニンポリフェノールが豊かで濃厚なワイン品種です。日本の気候・風土に適し、病害にも強く安定した生産が可能な赤ワイン用品種。

https://www.dr-tomio.com/archives/14より 

  

今回のテイスティングレーニング用ワインは原茂ワインのアジロン

ラブルスカ品種(苦手…)にありがちな香りに、コンコード?キャンベルアーリー?などとみんなでいろいろ予想してみたけれどみごとに外れ、アジロンダックだった。香りはイチゴやプラムのような甘さがあり、味も甘いけれど、同時に酸が強く、おもしろいワインだった。冷やして飲むとおいしいかもしれない。

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続いてチーズ。手前から反時計回りに。

 

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ルフレ:シェーブルのフレッシュチーズで今が旬とのこと。外観は真っ白。味わうとヨーグルトのような味でほのかな酸味が心地よい。暑い時期にぴったりだろう。

シャビニヨル・ドゥミ・セック:これもシェーブル。ドゥミ・セックという名称は熟成が中程度なのでそう名付けられているという。塩味、酸味ともに強く、シェーブルらしい味。

モルビエ・レクリュ:牛乳製。前日の残りのミルクに当日のミルクを重ねたエコノミカルなチーズ。むっちりとした食感。真ん中の黒い線は植物性の炭。なぜこんな線が入っているかというと……。

「大型チーズを造るには十分な量のミルクがないときに、フランシュ・コンテ地方の農民たちが考え出したチーズだといわれています。

彼らは次の搾乳までの間、カードを保護するため銅鍋(Chaudron ショドロン)の底の煤をカードの表面にまぶしておき、その上に新しく準備されたカードを重ねたので、真ん中の黒い線はそのまま残りました。
現在でも、植物性の炭を使ってチーズの中心に水平に黒い線が入るように工夫されています。味わいにも食感にも特に影響はありません」

http://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/term/morbier/ より

 

ラクレット:牛乳製。吉田牧場産。冬のミルクでつくったため色が白い。ヨーグルトっぽい味わい。ラクレットというとオーブンで溶かして野菜などにかけることが多いけれど、もちろんそのまま食べてもおいしい!

ボン・レヴェック・レクリュ:生乳製。ノルマンディー産で海に近い産地のため、塩気が感じられるのでは、ということ。ちなみにカマンベールと同産地。ウォッシュタイプ。現在農家製のチーズは全体の9%のみだそうで、貴重なチーズ。ウォッシュならではの「くさうま」チーズ。くせになるおいしさとはこのこと。

*参考:フランスの牛乳殺菌方法 

https://www.tsujicho.com/oishii/recipe/letter/totteoki/milk.html

クレムートリュフ:牛乳製の白カビチーズ。ダブルクリーム(クリーム添加、つまり高カロリー)という危険なチーズ。トロトロで、ダブルクリームならではのコク。うっとりするおいしさ!

 

今回もたいへん幸せな時間を過ごさせていただきました。どのチーズもワインもいつもながらおいしいのですが、なかでもこんなにおいしくて財布に優しいピノ・ノワールがある、しかも日本製だと知って、うれしくなってしまいました。

日本ワインとナチュラルチーズ セミナー 2019年4月

いろいろと忙しく過ごしていたせいか、チーズとワインセミナーの投稿も1年あいてしまいました。反省……。毎回学ぶことの多いセミナーですが、今回はとくに強い印象を受けたワインだったので記憶が鮮明なうちにまとめておきます。

テイスティングのトレーニングワイン

http://cantinariezo.jp/

長野県高山村のカンティーナ・リエゾー サクラサクラ 2016

イタリアの代表品種バルベーラでつくったロゼ

先月もいただいたのですが熟成によって色がすっかり変わっていて驚きました。先月はロゼとは思えないイエローがかった色だったのが、すっかりロゼ……というより明るめのガーネット色になっていたのです。

香り:カシスや未熟なストロベリー

味わい:酸味が強烈で、収れん味が強い。とはいえざらついたタンニンは感じない。塩味もややあり、甘味と苦みはほぼない。ライトボディながら個性が強いワイン。香りに表れていたストロベリーの余韻が上あごにずっと残って心地よい。中華に合いそう。

 

今月のワイン

シクロヴィンヤード 長野県東御市 飯島さんご夫婦による運営 『神の雫』3/7編に掲載

https://www.cyclovineyards.com/

新設でまだ自前の醸造設備がないためリュードヴァンと伊那ワイン工房に委託醸造

自転車競技の選手だという飯島さん。「シクロ」はフランス語で自転車を意味するそうです。

ブドウが実をつけるのは植え付けてから3年めといいますが、樹齢4年というかつてない若いブドウ樹でつくられたワインときいて、いったいどんな出来なのだろうと、興味津々で臨みました。赤の2本は抜栓して時間をおくほうがお勧めという造り手のアドバイスがあったそうで、すでに栓が抜かれていました。

ワインリスト:

パシュート シャルドネ2017 ステンレス醸造およびステンレス発酵 無濾過でシュールリー

アマンダ メルロ―2017 標高660メートルの畑産

パシュート アルモノワール2017

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シャルドネは樽発酵させたコクのあるタイプが大好きなのですが、今回のワインはその対極にあるタイプでした、色は若干グリーンがかったイエローで、一見すると熟成しているようにも見えました。香りはあくまで爽やかで、やや柑橘を感じます。味は酸味が強く、ひじょうに軽くて、まるで水のようにあっさりとしています。とにかく軽くてさっぱりしているので夏の暑い時期に太陽を浴びながら飲んだらおいしいかもしれません。

ステンレス醸造およびステンレス発酵、しかも樹齢4年という若いブドウを使うと、こんなにさっぱりと軽い味わいになるのだという実例を知ることができました。

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メルローもやはり樹齢が若いようですが、こちらは意外にもしっかりとしていて、メルローらしい凝縮感があり、飲みごたえがありました。色はリムの辺りが少しオレンジがかったガーネット色。これは購入して飲んでみたい。

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アルモノワールという品種は初めて飲みました。カベソーとツヴァイゲルトレーベの交配種とのこと。色は濃いルビー色でやや苦みがあり、最初は開いていなかったようで、特徴がとらえにくかったのですが、2時間たつころには少し果実味が感じられるようになっていました。抜栓して時間をおいたほうがいいというアドバイスはこのためだったのでしょうか。

 つづいてチーズです。今回は水牛、羊、牛乳とバラエティ豊かでいつにも増して楽しめました。

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・写真真ん中:桜もち子 マダム久田のオリジナルチーズ イタリアの水牛乳製モッツアレラを3週間熟成

桜の葉でおおわれていたおかげで桜の葉の香りがたっぷり感じられて、春を実感するおいしさ。もっちりしっとりとしていて、緑茶にもきっと合うのでは。

・その左のレンガ型 パヴェ・ド・ラルザック・フヌグレック フランス 羊乳製 

ロックフォールと同じミルク。新発売で日本初登場のチーズであり、中に木の実が砕いて入っています。匂いが強く、酸味と塩味が強く感じられました。

・以降時計回りに ブルー・ド・オーヴェルニュ マダム久田熟成 フランス。

おなじみのおだやかな辛みのブルーチーズ。いつ食べても安定したおいしさです。

・オーガニック・ヴィンテージ・チェダー 英国

周囲がワックスで覆われた珍しいチーズです。このワックスのおかげで常に品質が安定するそうで、たいへん濃厚でナッティ。塩味も強いですがきつい塩味ではなく、深みを感じます。チェダーはスーパーなどでも売っていますが、あれとは雲泥の差! ウイスキーや甘めのビールとも合うとのことなので試してみたいものです。さいわい今ならウイスキークラフトビールも家にあります♪

・コンテAOP 12-18カ月熟成 フランス これもおなじみの味。きれいなカスタード色で、ちょうどよい熟成具合。チーズ用につくられたというフルーツマスタードを塗ったらさらに絶品のおいしさでした。

 

オーガニック・ヴィンテージ・チェダーの詳細はこちら

http://www.lammas.jp/product/98

 

 

映画鑑賞記録 『グリーンブック』

またも間があいてしまいました。

先日鑑賞した『グリーンブック』は今年度アカデミー賞の作品賞に輝いた作品です。

あらすじは以下の通り。

”時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めるトニーは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが……。“(HPより)

ガサツで差別意識の持ち主ではあるけれど根は優しくて卑怯な行動と理不尽を嫌うトニーと、異様なほど潔癖症で繊細なドクター。まるで正反対の二人は人種差別が特に激しいディープサウスへの演奏旅行を進めるにつれて、心を通わせていく。

――今までにもこの手の映画はあったし、話の展開はほぼ予想通りだった。途中ややだれ気味で、130分という時間は少し長すぎるようにも感じたけれど、鑑賞後はあたたかい気持ちになれて、よい作品だったと思う。なにより二人の人物像に魅力があった。ピアノ演奏シーンでは映画館というよりコンサート会場に来たような臨場感ある音に包まれたし、特に旅先のバーで地元のバンドと即興演奏を奏でる場面では自然に体がリズムをとるほど心踊った。ただ、新鮮味は感じられなかった。それでもこの作品はアカデミー賞の作品賞に選ばれている。なぜだろう。

きっとアメリカには定期的にこういう映画が必要なんだろうと思う。特にトランプ大統領の就任以来、国民の間の分断があらわになってしまった今という時代には、こういう作品を作り、鑑賞することによって、深い溝をなんとか埋めたいという気持ちが、誰に指図されるでもなく、おのずと人々のなかに生まれてくるのではないだろうか。そう考えると、アメリカの人々がこの映画に寄せる思いは、かの国に暮らした経験もない日本人の私が容易に想像できる類いのものではない。分断は一朝一夕で埋まらないけれど、この映画でかの国の人々が少し優しい気持ちになれたらいいと思う。根拠のない憎悪から放たれて、隣人同士で握手、あるいはハグしたくなるような気持になれたならいい。

ところで映画が終わりエンドロールが流れるなか、驚愕の事実に気づき、椅子からずり落ちそうになった。何と、トニー役を演じていたのはヴィゴ・モーテンセンだったのだ。彼の顔は知っていたのに、鑑賞中まったく気づかなかった。髪をオールバックにして顔も体もムキムキというかむちむちに太った彼の姿は『ロード・オブ・ザ・リング』のころとはまるで別人。役作りのために太ったのかそれとも加齢による変化なのか、とにかく驚いた。

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日本ワインとナチュラルチーズセミナー 2018年2月

もう4月なかばですが、2月のセミナー内容をいまごろまとめております……。

今回はソーヴィニヨン・ブランの飲みくらべという趣向で、日本ワイン4種プラスフランス産1種をいただきました。特徴をつかむためにもっと飲んでみたいと思っていた品種なのでとてもうれしく、心弾むひとときでした。

 

ワインは左から

あづみアップル deuxieme2016

シャトレーゼ勝沼2016

安心院ワイン2016

胎内高原ワイン2013

ピュズラ・ボノーム ヴァンクールブラン・トゥーレーヌ2014

価格帯はほぼ同じという5本。甲乙つけがたかったのですが、1本だけ選ぶとすればあづみアップル。ソーブラらしい緑の茎っぽい香り、酸味が強く、爽やかでした。シャトレーゼはあづみより酸がおだやか、安心院は香りがトロピカルで甘い味わいを想像しましたが予想に反してドライ! 胎内高原は樽香が強かったと同時に、他より熟成しているためかやわらかでまろやかな口当たりでした。そしてヴァンクールは…強烈なセメダイン香に圧倒されました。実はアロマホイールでこの香りの存在を知ったとき、「そんなワインあるのかなあ」とやや懐疑的だったのですが、これはまさにセメダイン! 味は複雑でうまく表現できませんが、時間の経過とともに香りが収まり、甘味が増していきました。シェーブルの名産地トゥーレーヌのワインだけあって、トレフルと相性がよかったです。日本の4種とフランスを比べると、やはり力強さというか主張の強さはフランス産が圧倒しているように感じました。とはいえ日本のソーブラが劣るというわけではけしてなく、爽やかかつ優しい口当たりに日本らしさが表れていると思います。

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チーズはすべてフランス産で、左手前から時計回りに

トレフル(シェーブル)

プティバスク(羊乳)

モンドールAOP(ワインでみがいてあるヴァン仕込み)

エポワスAOP


プティバスクは名前の通りバスク地方に近い産地のチーズで、シャトレーゼと合いました。モンドールは、表面の凸凹が激しいほど熟成が進んでいるそうです。モンドールとエポワスはヴァンクールと好相性、モンドールはフランスパンに乗せて安積アップルと合わせるとおいしかったです。

 

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ボトルと同じ順に白紙を背景にして色を見ました。 

同じヴィンテージの3品はあまり色の差異がないが2013と2014は明らかに黄色が勝っています。

 

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余談ですが、昨日あるお店で再びヴァンクールをいただいたら、あのセメダイン香はまったく感じられませんでした。個体差あるいは抜栓後の時間の差でしょうか。強烈な香りがない分、味わいだけに集中できました。ブドウがビオディナミ栽培という点を考えると、抜栓してしばらくおいたほうがこのワインは美味しく味わえるのかもしれません。あるいは、抜栓直後、1時間後、2日めというように比較して飲んでいくのもおもしろそうです。